フィリピン カルサダコーヒー ── 柑橘と果実が重なる、複雑な一杯

一杯のなかに、柑橘の明るさと、桃のような甘さが同時にある。そんなコーヒーに出会うことは、そう多くありません。

今回ご紹介するのは、フィリピンのカルサダコーヒーが手がける、カラサンスイートという品種の豆です。

赤く熟したコーヒーチェリー
コーヒーチェリー

フィリピンという産地

フィリピンにおけるコーヒー栽培は、18世紀のスペイン統治時代に、アラビカ種のコーヒーが植えられたことに始まります。19世紀後半には、一時的に世界第4位のコーヒー輸出量を誇るまでに成長したものの、さび病の蔓延などを受け、コーヒー産業は低迷していきました。20世紀後半には、ロブスタ(カネフォラ)種の大量生産が主流となりましたが、近年ではスペシャルティコーヒーへの注目も高まり、品質を重視した生産へと方向転換する生産者も、徐々に増えています。

今回の豆が育ったのは、ミンダナオ島、ブキドノン州のシティオ・サンロケ。標高1000〜1500mの土地です。

カルサダコーヒーという作り手

手がけているのは、2014年に設立されたカルサダコーヒー。フィリピンのコーヒー産業が抱える課題に向き合い、地域の農家や住民のエンパワーメントに取り組んでいる生産者企業です。各コミュニティにウェットミルを建設し、同じコミュニティの農家からコーヒーチェリーの90%を買い取る仕組みを持ち、チェリーの品質に応じて価格を上乗せすることで、品質向上へのモチベーションにもつなげているといいます。15軒の農家とともに始まったカルサダコーヒーは、いまでは3つの州、500軒以上の農家と連携するまでに成長しました。

今回の豆が育ったシティオ・サンロケの水洗加工場を率いるのは、エラリンさんとアーノルドさん夫妻。2021年、パンデミックのさなかにカルサダコーヒーへ声をかけたことがきっかけで、いまでは大切なパートナーとなっています。アーノルドさんは農園チームのリーダーとして地元の農家とともに栽培を行い、技術面の指導にも熱心。エラリンさんはQロブスタグレーダーとして、精製を担当するチームをまとめています。

収穫されたチェリーは、水分値14〜15%まで天日乾燥したのち、水分値10%まで機械乾燥するという、ウォッシュとナチュラルを組み合わせた精製方法(ミックスプロセス)で仕上げられています。

カルサダコーヒーに関わるコミュニティの人々の集合写真
コミュニティの人々

カラサンスイートという品種

品種はカラサンスイート。カルサダコーヒー自身、「複雑な果実味が魅せる、唯一無二のスイート品種」と紹介しています。

コーヒーチェリーの収穫作業の様子
収穫作業の様子

柑橘と果実が重なる、複雑な一杯

中煎りに仕上げました。柑橘のような明るさ。桃やトロピカルフルーツを思わせる甘さ。ほうじ茶のように、やさしく残る余韻。華やかで明るい印象もありながら、他ではあまり感じられない複雑な風味が、この豆の魅力です。

この豆を選んだ理由

高品質でありながら、生産者の公平性、人権、環境への配慮を大切にする。カルサダコーヒーが掲げるその姿勢に、Imori Coffeeは共感しました。

15軒の農家とともに始まった取り組みが、いまでは500軒以上の農家との連携へと広がっています。その歩みにも惹かれました。

フィリピンは、日本から見ても近いアジアの国です。近い地域の隣人として、その土地や人々のことを、コーヒーを通じて少しずつ知っていきたい。そんな思いもあります。

そして何より、カラサンスイートという品種そのものの風味に魅了されました。フルーティーで明るいだけでなく、他ではあまり感じられない複雑な風味がある。それも、この豆を選んだ理由のひとつです。

これからも、カルサダコーヒーの取り組みを応援していきたいと考えています。

Imori Coffee Roasteryは焙煎所であり、産地に自社農園を持ちません。現地の農家が育て、カルサダコーヒーが生産・精製に関わる豆を、海ノ向こうコーヒーを通じて仕入れ、盛岡で焙煎してお届けしています。この豆も、ご注文をいただいてから焙煎し、お送りしています。

コーヒー豆(200g)1袋につき200円を、森林保全や森づくりに関する活動へ寄付しています。

参考

この記事は、海ノ向こうコーヒーの公開情報を参考に構成しています。

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